団体受検 取組事例(小・中・高 等)
高校
「文武両道の進学校」として団体受検の必要性を感じています/高校/埼玉
関東 / 埼玉
[公立] 埼玉県立所沢北高等学校
中口 朝子 先生 | 鈴木 貴博 先生
進学も部活もあきらめない
本校は「文武両道の進学校」を目指しています。生徒たちは、学習と部活を両立させ、生き生きとした学校生活を送っています。そんな本校が漢検の団体受検に取り組むねらいは、主に次の通りです。
まず学習の面では、常に目標を持って学習する習慣が大切だと考えています。漢検も「級を取得する」という結果よりも、「合格を目標に学習する」という過程にこそ価値があります。3年生が受験勉強で手一杯なのに対して、1~2年生は定期テスト直前の時期はそれを目標として学習するものの、テストの狭間の時期は目標が無く学習が疎かになりがちです。そこで、敢えてそのような時期に漢検の日程を設定することで、新たな学習の目標としてもらうことをねらいとしています。特に第3回(2月)では、推薦などで既に進路が決まった3年生にとっても学習の目標が無い時期に当たりますので、積極的に受検を薦めています。
また、本校の生徒は、ほぼ全員がセンター試験を受けることになります。理系を志す生徒であっても、国語の受験は避けて通れません。生徒達もそのことは意識していますが、特に1~2年生の頃はどんな対策をして良いのか分かりません。その場合、漢字の学習が良い目標になります。実際、センター試験では漢検2級レベルの漢字問題が多く出題されています。また、漢字力は問題文の内容を理解するのにも役立ちます。漢検2級合格に向けて学習をすることは、センター入試を突破する実力養成に繋がるのです。
参照:漢字検定実施のお知らせ 次に部活との両立の面では、学校で受検できる体制が必要だと考えています。本校は部活の参加率が非常に高く、土日も練習があるので、個人受検に行ける生徒は少ないでしょう。全ての生徒にチャンスを与えるためには、学校での受検機会の提供が必要だったのです。また、検定を受けるために練習を休むことに抵抗感がある生徒も多く居ます。そこで、平日の放課後に実施すれば、検定終了後に部活に参加することもできるので、部活との両立が可能になります。
これらのポイントを生徒に伝えるために、受検希望者を募集する時期に、「漢字検定のお知らせ」というプリントを作成して各教室に掲示しています(プリント参照)。
社会科教員から見た漢検の効果
国語の力は、あらゆる教科学力の基盤になる能力です。そして、その国語力の根底にあるのが漢字力です。漢字力の向上は、文章を読む力や書く力の向上にも繋がります。全ての生徒に必要なのが、漢字・国語の力なのです。
社会科の鈴木貴博先生は、教員生活3年目の若手教員です。特に社会科の場合、様々な漢字を使うことが多い教科です。鈴木先生は、「教科書は常用漢字の範囲内で書かれているはずだが、社会の教科書の漢字を読めない生徒が時おり見受けられる」「社会科のテストでは答えを漢字で記すよう指示される場合も多く、生徒には漢字力も求められる」といった課題意識をお持ちでした。そんな背景もあって、生徒たちに漢検の受検を熱心に薦めてくれています。
鈴木先生ご自身も、「板書している時、とっさに漢字が出てこないことがある」「パソコンでプリントを作成している時、変換候補の選択に迷うことがある」などの経験から、自分の漢字力を鍛えなおす必要性を実感していたようです。どんな教科の教員であっても、必ず板書やプリント作成はしますので、漢字力は全ての教員に必須の能力だといえます。
鈴木先生は、平成22年度に生徒と一緒に2級に挑戦し、見事合格をしました。検定当日は、生徒たちに混ざって一緒の席に座り、受検をしました。本人は「落ちるわけにはいかない」と、かなりのプレッシャーを感じていたようです。一緒に受検した生徒たちにとっても、素敵な思い出となったに違いありません。
学校紹介
校長:加藤 正芳 生徒数:1098名
公立高校としてバランスのとれた「文武両道の進学校」です。部活の加入率は94%以上にのぼり、学校行事も充実しています。特に進学実績の面では、「公立・難関私立大学合格者数でここ10年間で最も伸びた高校350校(東日本)」の中で、県内の公立高校として2位、東日本全体の中でも35位に位置づけられるなど、大きく躍進しつつある高校です。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。