団体受検 取組事例(小・中・高 等)
高校
日本語として運用できるレベルの漢字語彙力を身に付けさせたい/高校/山梨
関東 / 山梨
[公立] 山梨県立山梨高等学校
森岡 博美 先生 | 功刀 えり子 先生
各種検定への取り組み
本校が各種資格検定に積極的に取り組んでいるのは、資格取得を目指して生徒たちの学習意欲を向上させることが主なねらいです。漢字検定をはじめ、英語検定、数学検定、毛筆検定、書写検定の5つの検定に取り組んでいます。どれも「読み・書き・計算」の基礎能力に関するものであり、進学・就職いずれの進路選択をするにせよ、必ず身に付けておく必要のある能力ばかりです。
漢字検定に関しては、あくまで希望者制の受検ではありますが、可能な限り年4回の受検機会を提供し、1年生の頃から積極的に受検するように推奨しています。全校生徒数582名に対して、受検者数が100名を超える回も珍しくありません。平成22年度の延べ受検者数は410名ですので、8割以上の生徒が年に1回は受検している計算になります。卒業までに2級に合格してもらうことが目標ですが、そのためにも1~2年生の早いうちに、3級や準2級などの自分の実力に合った級に一度合格しておくことが大切だと実感しています。
指導の工夫
漢字の指導法としては、週末課題としてプリントを与え、週明けにその範囲の確認テストを実施しています。間違えた漢字を赤字で修正してから提出させるなど、事後指導の徹底も図っています。
テスト範囲として示された漢字熟語については、生徒たちはきちんと訓練して覚えてくるようで、当初は確認テストも好成績でした。ところが、同じ漢字の送りがな問題を出題したところ、正答率が下がるという現象が起こりました。送りがなとは、即ち中国語としての漢字を日本語に読み下したものに他なりません。漢字を日本語の一部として認識し、文脈に合わせて活用させることができるかどうかを問う問題です。それが苦手ということは、漢字の字義の理解が浅く、日本語の中で運用するという意識が低いことの表れです。生徒たちの漢字語彙の理解度を、テスト範囲の丸暗記レベルではなく、日本語の一部として運用できるレベルまで高めることが、今後の課題だと考えています。
そのための工夫として、新たに「新聞スクラップ」の指導を始めました。教員が社会面や経済面などの紙面を指定し、そこから気になった記事を各自に切り取らせます。切り取った記事はノートに貼付し、その記事に対する感想や意見を10行以上書かせます。記事中に分からない言葉があれば、別途書き出させて、辞書を引いて意味を書かせます。このような、実社会に照らした言語経験を地道に積ませる機会をつくることで、日本語に対する理解を深め、言葉を運用するという意識を培っていって欲しいと考えています。
学校紹介
校長:深澤 幸一 生徒数:582名
本校は、1917年に東山梨郡立の実科高等女学校として創設され、爾来90年余の歴史を有する学校です。校訓「至誠無息」の理念のもと、特色ある教育活動には、ノーチャイム制やテーマスタディー、朝の読書活動などがあります。また、「学びの本質に迫り、基礎基本の確実な定着をはかるとともに、学習習慣の確立に努める。」という教育目標のもと、分かる喜び・学ぶ楽しみにつながる授業改善に取り組んでいます。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。