団体受検 取組事例(小・中・高 等)
高校
教務部の所掌で漢字検定を全校生が受検しています/高校/北海道
北海道
[私立] 札幌龍谷学園高等学校
教務部 漢検担当 三澤 康英 先生
全校生徒に漢字検定を受検させる理由
本校では、全校生徒に年1回必ず漢字検定を受検させています。漢字検定の所掌は国語科ではなく、教務部としています。私自身、担当教科は英語ですが、教務部の立場として漢検の業務を担当しています。そもそもは土曜日の有効活用が目的でした。その当時の本校の生徒たちは、あまり勉強が得意な方ではありませんでした。土曜日を完全な休みにしてしまうと、家庭学習も疎かになりがちで、ますます勉強に意識が向かなくなることが懸念されました。そこで、「土曜学習委員会」を立ち上げ、土曜日の有効活用の方策を検討することにしたのです。
議論の結果、土曜日に資格検定を全員で受検することにし、その合格を目指した家庭学習を促すことが効果的ではないかとの結論に達しました。そして、どの検定が全員受検させるにふさわしいかを議論した結果、漢字検定を実施することになりました。漢字・語彙力は、全ての学習の土台となることは間違いありません。また、漢字の反復訓練こそ家庭学習を促しやすい領域だと考えました。コツコツ学習した努力が検定結果に繋がりやすいので、他検定よりも多くの合格者が期待できるという見込みもありました。また、漢字検定は受検者数も多く、テレビ番組でも良く取り上げられるほど有名ですので、生徒たちもとっつきやすく、「検定の何級かを取ってみたい」という意欲を喚起しやすいと判断しました。もちろん、漢字検定を取得しておけば、将来の進学や就職の際にも有利に働くことも選択理由のひとつにあります。全員受検させている検定は漢検だけであり、他の検定は希望者が受検する形になっています。
実施方法と効能
2~3年生は第1回(春)、1年生は第2回(秋)に全員受検させています。特に3年生は大学入試や就職試験を意識して春に受検しておくことが必要ですが、第1回の時点では1年生はまだ学校に慣れておらず、授業の日数も少ないため、秋に受検させることにしました。
協会の「表彰支援制度」も活用しています。各級ごとに年間を通じて最も高い点数を獲得した生徒を表彰対象者としています。最上位級(2級か準2級の場合が多いですが)の最高得点者に最優秀賞、それ以下の級については優秀賞、努力賞と順次表彰しています。2月末に全校生が参加する卒業式の予行練習がありますが、その場を利用して漢検の表彰式を行っています。皆勤賞などの各賞と並んで漢検の最優秀賞の生徒を壇上に上げ、全校生徒の前で校長先生から賞状と盾を授与してもらっています。壇上では表彰されない努力賞などの生徒は教室で担任から表彰されるようにしています。こうして栄誉を称えられた生徒は、次年度の受検に向けた学習動機が高まるようで、他の生徒よりも早めに漢検の勉強を開始する傾向が見られます。
生徒たちの中には「現代社会は努力をしても必ずしも報われない。明るい未来が見通しにくい。」と感じている者もいるようです。「どうせできない」といった諦観を持ってしまうと、負のスパイラルに陥ることになり、明るい未来も期待できなくなります。そうならないように生徒たちには、ひとつの成功体験を「やればできる」という自信に変えて、正のスパイラルに入っていってほしいと願っています。そのきっかけが、漢字検定の合格である場合もあると思うのです。学校の授業面ではあまり目立たない生徒が準2級に合格し、周囲を驚かせたことがありました。生徒たちが明るい未来に向かうきっかけを与えるための仕掛けとして、今後も漢字検定の全員受検を継続したいと考えています。
学校紹介
校長:上山 功夫 生徒数:854名
本校では、校訓「和顔愛語」を中核とし、慈悲の心を育て、生徒一人ひとりを大切にし、一人ひとりの才能をしっかり伸ばす教育を行い、「いじめ」のない学校づくりを推進しています。親鸞聖人の教えに基づいて、現代社会を心豊かに生活するためにはどうすべきかを考え、実践する教育を行うとともに、個々の進路希望を実現するために特進・プログレス進学・総合・福祉コースを設置し、多様な選択教科・科目の授業を行っています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。