団体受検 取組事例(小・中・高 等)
高校
基礎学力の定着には、学校が一丸となり取り組むことが大切/高校/北海道
北海道
[私立] 札幌新陽高等学校
可香谷 紀子 先生
基礎学力定着の必要性を痛感
本校では、学校を挙げて生徒の基礎学力の定着に向けた取り組みを行っています。きっかけは、高校入学以前の基礎学力の不足が生徒に見られたことでした。例えば、授業で生徒に教科書を音読させても、簡単な字が読めずにつまずいてしまいます。中には、小学校3年生で習う漢字が読めない生徒もいました。
読み・書き・そろばん(計算)は、すべての学習の基礎であり、国語や数学に限らず、全教科で必要とされる力、さらには社会でも必要とされる力です。そこで、すべての生徒に基礎学力を定着させるべく、学校を挙げての取り組みを開始したのです。
毎日の漢字テストで着実に定着
取り組むテーマは毎年学年ごとに決められます。平成22年度は全学年が漢字学習をテーマに選びました。漢字の読み・書きが全教科に影響すること、そして担当教科にかかわらず、どの教員でも指導しやすいことから、漢字学習を行うことにしました。全生徒が足並みを揃え、基礎・基本から丁寧に学習を積み重ねます。
平成22年度は、放課後に毎日5~10分程度の漢字の小テストを行いました。同時に、漢字のなぞり書き練習も行い、宿題としても課しました。生徒に「止め」「はね」「払い」を意識させ、丁寧に書く癖をつけさせるためです。そして毎週金曜日に、その週に練習した漢字の定着度確認テストを行います。前期・後期それぞれに、満点をとった生徒や優秀な成績を収めた生徒を表彰しています。
漢字検定で定着度を確認
学校を準会場として、年3回の漢字検定を実施しています。年間に少なくとも1回は、必ず全生徒が受検するよう決めています。
漢字検定を導入した目的は、小テストよりも広い出題範囲で日頃の学習の成果を確認するため、そして、進学や就職を見据えて資格を取得するためです。本校は、体験学習や資格取得を重視しており、学びを楽しむこと、学びに興味をもつことから始め、やがて視野を広げ将来を考えるきっかけの場となるように、様々な機会を提供しています。
漢字検定では、卒業するまでに、常用漢字がすべて読み・書き・活用できる2級を取得することを目標としています。そのためにも、まずは最初の一歩で確実に合格し、「やればできる」という達成感を味わうことが大切です。そこで、全生徒が7級から取り組み始めます。2回目からは、学習の進度に応じた級に挑戦していきます。幅広い級が設定されている漢字検定は、漢字が苦手な生徒から得意な生徒まで、全員に対応できるので活用しやすいと感じています。
基礎学力の定着が学ぶ意欲につながる
本校の生徒の中には、小中学校時代の勉強への苦手意識を抱いたまま入学してくる生徒もおり、いかにして彼らの学習意欲を高めるかが課題となっています。
ある生徒は、漢字学習を通じて基礎学力が向上し、他教科の学力も向上していきました。後期の漢字の小テストはすべて満点を取り、漢字検定3級にも合格して社会に通じる資格取得もできました。そのことが彼の自信になり、授業でわからないことがあれば聞きに来るなど、漢字学習以外にも意欲的に取り組む姿勢が育まれたのです。
基礎学力を定着させることは簡単なことではありません。学校として、生徒が励みを持って取り組める体制をきちんと整え、継続して行うことが大切です。彼のように、基礎学力を身につけることで、苦手意識を取り除き、自信をもって挑戦していく生徒を育むべく、これからも学校を挙げて基礎学力の定着に取り組んでいきたいと思います。
学校紹介
校長:種市 敏則 生徒数:600名
校訓「自主創造」は本校が歩んできた、そしてこれからも歩み続ける道標です。この校訓を精神的支柱とし、生徒、保護者、教職員が、一人ひとりの力を結集し、自力を信じ、創意工夫と努力によって発展してきました。これからも、自主性を重んじ相手を尊重すること、誠実で責任感があること、それらの大切さを指導しています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。