団体受検 取組事例(小・中・高 等)
高校
社会で必要とされる漢字力を身に付けるために/高校/北海道
北海道
[公立] 北海道旭川北高等学校
中林 信也 先生
高校生の漢字力が低下
近年日本人の「活字離れ」が問題になり、全国の小・中学校を中心に「朝の読書」運動などが普及しました。それにより、日頃から読書に親しむ小・中学生が増えてきたように思います。しかし、高校生になると、携帯電話やインターネットの普及により安易に情報が入ってくるようになったことで、せっかく定着しつつあった読書習慣が崩れていきます。そのような状況に歯止めをかけるため、本校では朝の全校10分間読書を実施していますが、漢字を正しく学び、書く機会というのは確実に減少しています。
日本語の土台となる漢字
日本語は主に漢字とひらがなで成り立っています。正しい漢字を書けなくては、正しい日本語を使うことはできません。それゆえ、正しい漢字を書くということは、大学に進学しても、社会に出てからも必ず必要とされるのです。しかし、高校では、授業の難易度が上がり、基礎・基本に取り組む十分な時間を確保することは難しい状況です。定期的に漢字の小テストは行いますが、直前に出題範囲の漢字を覚えただけではなかなか定着には至りません。より恒常的に学習する習慣を身に付け、しっかりした漢字力を定着させることが重要です。
そこで、本校では漢字を正確に学習する機会を増やし、漢字力を向上させることを目的に、学校を準会場として年3回の漢字検定の受検機会を設けています。漢字検定は、明確な級設定がなされています。よって、漢字検定を目標とすることで、生徒たちは意欲的に漢字学習に取り組むことができるのです。受検者のほとんどが、卒業するまでには、常用漢字を網羅した2級に挑戦しています。
漢検で国語を得意科目に
漢字検定に取り組むことで、生徒の誤字脱字が減ったと感じます。また、漢字検定2級を取得している生徒は、センター試験の漢字問題の8割程度の正解率を得ることができます。さらに、この漢字問題は評論問題の最初に出題されるため、漢字問題をつまずくことなくクリアできた生徒は、勢いにのり、その後の問題にも自信を持って取り組めるといった副次的な効果も考えられます。
また、漢字検定は、漢字を苦手としている生徒にとっても、漢字への見方が変わるきっかけになります。漢字検定は読み書きだけでなく、四字熟語や同音異義語、熟語の構成なども出題される総合問題です。ある生徒は、漢字検定に向けた勉強を通じて四字熟語に興味を持つようになりました。そして、受検後も熱心に四字熟語を学ぶことで、国語が得意科目になりました。
本校の生徒は、試験の出来不出来に関わらず、何度も見返すなど最後まで粘り強く取り組みます。たとえ不合格という結果になっても、そこでめげることなく、合格するまで何度も挑戦し続けます。この最後まで全力を尽くす姿勢を忘れず、挑戦を続けて自分の道を切り拓いていってほしいと願っています。
学校紹介
校長:伊藤 一正 生徒数:720名
本校は、1940年に創立され、平成22年で70周年を迎えました。旭川の市街地から北に約3キロに位置し、文化的な活動や他のスポーツ施設にもかなり近く、絶好の教育活動が出来る立地条件にあります。平成19年にはSELHi(Super English Language High School)に指定され、英語で行う授業など、特色のある授業を行っています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。