団体受検 取組事例(小・中・高 等)
高校
好きな分野・得意な分野を伸ばすために漢検を活用/高校/岐阜
中部 / 岐阜
[私立] 学校法人平野学園 清凌高等学校
長村 真吾 先生
■「じぶん発見」をテーマに、様々なチャレンジの場を設ける
本校には様々なバックグラウンドを持つ生徒がいます。そのため好きな分野・得意分野を見つけて自信をつけ、その力を伸ばせるように「じぶん発見」をテーマとしています。
「じぶん発見」を実現するために学校を挙げて様々な資格の取得に力を入れています。資格取得は知的好奇心の喚起や自らの自信につながるため、進学・就職はもちろん、「好き・得意」を伸ばすには最適です。
■「好きな分野・得意な分野」を伸ばし、希望進路を実現するために漢検を実施
漢検の実施目的は2つあります。
1つ目は「好きな分野・得意な分野」を伸ばすためです。あらゆる分野の「好き・得意」を伸ばすには、学力の土台となる「知識・技能」を身につける必要があります。この「知識・技能」には基本的な日本語・漢字能力も含まれています。全生徒に必要な能力だからこそ、「全校」で漢検を実施しています。
2つ目は資格取得による進路実現のためです。漢検の取得は生徒の志望する大学・短大、企業で評価されます。漢検に合格することで、生徒の進路実現につなげてほしいと考えています。
■指導方法・取組方法について
先述の通り様々なバックグラウンドを持つ生徒がいるため、こちらから生徒へ指定する受検級はありません。3年間の取り組みの中で着実にステップアップすることを重視し、生徒が努力すれば合格できる級を目標として推奨しています。過去には入学当初8級からスタートして、卒業時には2級に合格した生徒もいました。このような経験からステップアップしながら学習していくことが大切だと意を強くしました。ただし、特定のコースでは漢検をはじめ簿記能力検定、電卓技能検定、実用英語技能検定などの各種資格を高校在学中に3種類以上取得することを卒業要件としています。当該コースでもステップアップを重ねて、いずれも卒業時までに3級以上を取得するよう、定めています。
受検級の決め方は、入学当初に生徒に課す級別テストと過去問の点数で決定しています。目安としては、200点満点中8割以上取れたら1つ上位級へ、6割以下の場合は1つ下位級へ、級を見直すことを勧め、無理なく生徒に適した級を受検するように伝えています。
指導方法・取組方法は、検定日の約1か月前から、全校で朝学習の10分程度を利用して、対義語・類義語、四字熟語などの分野を中心とした10問程度の漢字プリントに取り組みます。授業では生徒の苦手分野である音読み・訓読み、熟語構成などを中心に解説しています。最近では漢字の「なぞり書き」に重点を置いて指導するようにしています。以前、生徒の自己採点の様子を見た際に、誤った字形・字体でも正解としていることがあったためです。字形・字体を正確に覚えるために「なぞり書き」は有効であると感じており、生徒も集中して取り組めています。
■漢検実施の効果
このようにして漢検を段階的に受検して合格を積み重ねることを通じて、学習に対して自信を持つ生徒が増えてきました。漢検合格後に「過去問をください」と声をかけてくる生徒が増え、次の級の合格に向けて主体的に取り組む生徒が増えています。また漢検の学習を通じて「好きな分野・得意な分野」を見つけ様々な分野の難関資格に合格した生徒や、他教科の学習にも積極的に取り組み、堂々と発表できるようになった生徒が増えました。
■今後に向けて
現在、生徒は一人一台iPadを使って学習できる環境です。iPad等デジタル機器を用いて日々の漢字学習を空き時間に行いつつ、一方で「なぞり書き」のような実際に手を動かしながら一画一画丁寧に漢字を書くアナログの取り組みもしっかりと行い、デジタル、アナログいずれも両立させることがさらなる日本語・漢字能力の定着に向けて大切なことであると感じています。このデジタル・アナログの両輪を回すことで、今後より上位級の合格者を増やし、数多くの生徒が「じぶん発見」をできるようにしていきます。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。