公益財団法人 日本漢字能力検定協会

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日本語能力が支える現代の公務員

課長代理 森 正寛 様(公務員初級コース(2年制)、警察官・消防官・自衛官コース(2年制)担当)

大学・短期大学・専門学校 / 大阪

[専門学校] 学校法人 立志舎 大阪法律公務員専門学校

課長代理 森 正寛 様(公務員初級コース(2年制)、警察官・消防官・自衛官コース(2年制)担当)

■本校の紹介

 私たち学校法人 立志舎は、現在全国に約23校の専門学校、約6,000名の学生を擁しています。「立志舎メソッド7」と呼ばれる7つの特長を掲げており、特に開学以来改良を重ねながら取り組み続けてきた「ゼミ学習」を強みとしています。単に教員が学生に講義をするだけではなく、「ゼミ学習」を通じて学生同士が話し合い教え合うことで、学習効果をより高めています。その効果もあり、1983年に日本の専門学校で初めて公務員コースを設置して以降、今日まで10,000名以上の公務員試験合格者を輩出(※)しています。


■公務員に必要な日本語能力

 近年の公務員試験において、特に論文試験の変化を感じています。従来は「高校時代に頑張ったこと」など、受験者自身について記述させる問題が多く出題されていましたが、近年は「市民に信頼される職員とは」「魅力ある街づくりに必要なこととは」といったテーマに見られるような、集めた情報をもとに自分の意見を論述させる問題が多く出題されるようになっています。
 その背景として、自治体職員に求められる役割の変化があると考えています。近年、比較的単純な業務は民間企業を中心とした外部への委託が進んでおり、職員には魅力ある街づくりに向けた企画立案・実行、行政サービスの問題点に関する市民との折衝など、複雑な業務への対応が求められるようになっています。そこでは、情報を理解するための語彙力や理解力、その情報をもとに相手にわかりやすく伝えるための表現力が必要です。昨今の論文試験では、これらの能力も問われているのではないでしょうか。
 また、語彙力や表現力は自治体職員以外の公務員にも求められます。例えば警察官は、刑法を中心とした法律の知識を身につけておかなければ業務に支障をきたします。当然ですが、法律は多くの漢字を用いており、理解するための最低限の知識として、漢字の知識が欠かせません。先日、本校に遊びに来た卒業生も、警察学校の漢字学習の量に驚いていました。
 そして、どの職種に就いたとしても、公務員は「全体の奉仕者」として行政サービスを提供します。頻繁に発生する市民や関係者との折衝において、コミュニケーション能力は欠かせません。公務員には、市民や関係者の要望を正しく理解し、相手にとって適切な表現で説明することが日常的に求められます。
 私たちは、公務員試験の突破、ひいては公務員として必要な日本語能力を「日本漢字能力検定(以下、漢検)」、「文章読解・作成能力検定(以下、文章検)」を通じて身につけさせています。


■「漢検」を用いた学びの土台作り

 先述の通り、学生に一定レベルの漢字能力・語彙力を身につけさせることは必要不可欠です。本校では、1年生の6月に漢検の受検機会を設定し、受検までに実に70コマの授業時数を費やして漢字学習に取り組んでいます。クラス全員が準2級に合格することを目標に掲げ、学生全員に周知しています。授業では分野別に漢字を指導し、検定直前はほぼ毎日小テストで学習効果を測定しています。
 この時期に漢検に取り組ませるのには、他にも理由があります。そのひとつが「結果にこだわった経験を積ませること」です。1年後に公務員試験を控えた学生に対し、合否判定がなされる試験に対して綿密に準備し結果にこだわったという経験をさせることは、とても重要だと考えています。他にも、合格に向け「ゼミ学習」で学生同士が漢字を学び合うことによる一体感の醸成にも寄与しています。このように、漢検は本校で学ぶ上での土台として位置付いています。


■表現力を育む「文章検」

 文章検は公務員の論文試験の基礎力を育むツールとして活用しています。文章検3級の合格を目標に、1年生の1月から13コマの授業時数を割いて指導し、2月の検定で合格を目指しています。そして、受検が終わった2月末ごろから徐々に公務員の論文試験対策に繋げています。
 文章検3級の意見文で求められる「事実・意見・根拠」による3段落の文章構成は、より読み手を納得させる文章に繋がると考えています。例えば、「理想の警察官像」というテーマの論文試験で、いきなり「私の理想の警察官像は○○である」と書き出すよりも、「私は、これまで××といった経験をした。また、昨今の情勢は△△である。これらのことから、私が考える理想の警察官像は○○である」と意見の前に経験や事実を順序だてて書くことで、その意見に至ったきっかけや背景が見えてきます。それが意見に対する読み手の理解を促し、納得感のある文章に繋がります。
 また、論文試験と同様に、検定も限られた時間内に文章を書ききらなければなりません。論文試験対策前に文章検に取り組むことは、学生が時間内に文章を完成させる意識の醸成にも役立っています。



(※)国家公務員総合職・一般職(大卒程度)・地方公務員上・中級等現役合格1,185名、公務員初級等現役合格
   5,767名/警察官・消防官・自衛官現役合格3,784名/等(2021年3月卒業生 高校卒業生対象専門課程学園
   実績/1次筆記合格のべ)
   https://www.all-japan.ac.jp/history/sub/


※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。


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