大学・企業の漢検取組事例
大学・短期大学・専門学校
高校時代までの漢検2級取得で1年間の学費が免除に
関東 / 東京
[大学] 恵泉女学園大学
人文学部 日本語日本文化学科 佐谷 眞木人 主任教授
教員養成に漢検を活用
本学では、国語科と英語科の教員養成のための教職課程を開設しています。教職課程は2年次から始まり、教育実習が終了する4年次まで継続します。そして、国語の教職課程を履修している学生には、3年次に継続して同課程を履修するための条件として、2年次の11月末までに漢検2級を取得することを義務付けています。
教職課程開設当初は、そのようなハードルは設けていませんでした。ですが、「教員になるかどうかは分からないけれど、とりあえず単位だけ取っておこう」という安易な気持ちで履修する学生も多く、真剣に教員を目指している学生たちにとって少なからず悪影響を与えていました。本学からは、本当に現場に立てるプロの教員を輩出していきたいと考えています。そこで、漢検2級という進級ハードルを設定することで、本気で現場に立ちたいという志と熱意のある学生だけを集めるようにしたのです。
教育実習の際も、そのように真剣な学生を送り出さなければ、お忙しい中実習生を受け入れていただく学校側にもご迷惑をおかけすることになりかねません。また、受け入れ校の先生方にも学生の熱意を感じていただくことで、手厚い指導を行っていただき、教育実習の効果を高めるという狙いもあります。本学ではその他にも、教育実習に行かせる前に、全ての学生が最低5回、多い学生では10回程度の模擬授業を行います。また、実習先には大学教員が必ず訪問指導に赴いています。これらのきめ細やかな指導は、他大学ではほとんど見られないと思います。
プロの教員は、授業を通して生徒たちとの信頼関係を作っていかなくてはなりません。そのためには、教壇の上でのパフォーマンスが基本です。当然、説明の仕方や声の出し方など様々なテクニカルなスキルも要求されますが、それよりも信頼を積み重ねていくのは、基礎基本がきちんとできているかどうかです。即ち、板書の文字が綺麗で丁寧か、漢字や書き順の間違いはないか等に代表される、基本動作なのです。それは同時に、それらの基本動作ができないと最も信頼を失い易い部分でもあります。漢検2級に全員を到達させ、常用漢字レベルの読み書き活用能力を等しく身につけさせることで、本学から輩出される教員候補生の質を担保しているのです。
その他の漢検活用法
本学における漢検の活用は、教職課程だけに留まりません。
日本語教員養成課程(外国人を対象に日本語を教える教員の養成課程)においても、3年次中(教育実習まで)に漢検準2級の取得を義務付けています。この課程は、全ての学科の学生が履修できるように門戸が開かれていますので、履修生も多数います。教職課程と合わせると、漢検合格を目指す本学の学生は、多数在籍している状況です。そのような状況も受けて、平成24年度からはキャンパスを会場とした漢検の団体受検(準会場受検)も行っていく予定です。
また、同じく平成24年度の新入生からは、高校時代までに漢検2級を取得している生徒には、1年間分の学費を免除することにしました。高校時代までに漢検2級を取得している生徒は、高い言語能力を持っていると同時に、コツコツと学ぶ学習習慣が身に付いた生徒であると判断したためです。
このように、今後もますます漢検の効果的な活用を推進していく予定です。
学校紹介
学園創立当初から、他の学校では見られない「聖書」「国際」「園芸」を正課に取り入れた教育を行っています。創始者である河井道が、本学園を設立した際の「自己を尊重し、人種や階級に関わりなく他人を尊重すること」「日本女性が世界を知り、偏見をなくし、それに対峙すること」「自然を慈しみ、生命を尊び、人間の基本的なあり方を学ぶこと」という言葉に基づくものです。緑豊かな多摩丘陵に立地し、恵まれた環境で学習に取り組むことができます。また、美しいキャンパスを利用して、様々なドラマや映画のロケ地として使われることも多い学校です。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。