大学・企業の漢検取組事例
企業
秒刻みの報道現場で、最後に問われるのはスタッフの日本語力です。
関東 / 東京
[企業] 株式会社日本テレビアート
ビジュアル制作部 テロップセンター 担当部次長 矢崎 勝 氏
日本テレビのテロップセンターには、番組内で流れるテロップ(画面に表示される文字)などの作製以外に、校閲・校正を専門とする部署があります。
テロップには、単に情報を伝えるだけでなく、イメージを具体化させて意識に残らせる役割もあります。視聴者に放送内容をより分かり易く伝えるために、枚数やデザイン・動く効果の種類が年々増加する傾向にあり、夕方2時間のニュース番組で600枚のテロップを作製することもあるほどです。
特に生放送では放送直前までテロップの発注があり、1分1秒を争う現場となります。最新の情報を伝えるというニュース番組の宿命ですね。発注書は全て手書きであり、時間がないために殴り書きの場合もしばしば。それを短時間で判読・誤字訂正し、さらに事実内容をチェックした上で入力部署に渡さなければなりません。テロップ入力にはパソコンを使いますが、その基となる原稿チェック(校閲)や仕上がりチェック(校正)は、人間が読み込んで行う以外にありません。たった1文字の間違いでも、それが全国に放送されてテレビ局の信用を失うという怖さもあります。校閲・校正スタッフにとって、事前の情報収集に対する努力はもとより、幅広い分野の語彙知識や漢字活用能力は必須のスキルと言えます。
「帰省の混殺(雑)ピーク」
「生涯を賭(懸)けて取り組む」
「サイン責(攻)めに遭う」
など気持ちはよく分かる少々愉快な間違いならまだしも、「意思・意志・遺志」「体制・態勢」の使い分けなどはニュースを理解しないと校閲はできません。
スタッフ募集要項には、期待するスキルとして「漢検2級以上の漢字力」を明記していますが、「すぐに辞書を引く習慣をつける」「興味を持ったことは調べ上げる」という探究心があると、文字に関わる仕事がより楽しく感じられることでしょう。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。