新入社員研修の一環として漢検を活用しています

1．新入社員に求める能力

　1987年に創業して以来、弊社はテレマーケティング（電話等を通じた直接資料請求の受付や販売促進活動）を専門に行ってきました。1988年に大阪本社が設立され、2004年には通信販売の受注代理を主な業務とした鳥取プロスペリティセンターを開設しました。このセンターでは、地元の高等学校を卒業された方々を中心に、毎年15名～30名程度の新入社員を採用しています。
　テレマーケティングを専門に扱う業界では、とりわけIT（情報技術）の導入が活発です。弊社においても最先端のテクノロジーを多数取りそろえています。しかし、重要なことはいかにシステマチックといえど、それを用いる人材の質がサービスの価値を左右するということです。そこで弊社では、全てのお客様に質の高いサービスを提供すべく、新入社員教育に力を入れています。弊社が新入社員に求める能力は、以下3点です。

（1）コミュニケーション能力
　私たちの業務は、相手の顔こそ見えないものの、接客業です。先方との意思疎通が図れないと様々なクレームに繋がります。ゆえに、お客様が何を求めているのかについて、正確に把握する能力が求められます。そのためには、人の話を聞き、相手の立場に立って発言するという、「聞く」「話す」双方向のバランスが重要です。一方的に聞く・話すという姿勢では、お客様のニーズに応えることはできません。

（2）文章構成能力
　弊社では、受注応対業務だけでなく、お客様からの問い合わせ内容を伝票に記入する業務もあります。起票する際、文章構成力が低いと自分がお客様から伺った内容を第三者に正確に伝えることができません。お客様から伺った内容を整理し、自分の言葉で他者に伝える力が必要です。

（3）忍耐力・我慢強さ
　弊社には様々な雇用形態があり、それに応じて仕事量も変わります。例えば、8時間雇用の社員は平均して1日約80件の電話応対をします。単純に計算すると、パソコン入力等を含めた1件あたりの応対時間は約6分、うち通話時間は約3分です。限られた時間内に集中して業務をこなさなければなりません。この業務を毎日こなすには相当な精神力が必要で、クレームに対しても逃げずに対応しなくてはなりません。ゆえに、忍耐力・我慢強さは不可欠です。

2．漢検導入の目的

　漢検を導入した目的は、新入社員の学力低下、とりわけ漢字の書き取り能力が年々低下していると感じたからです。例えば、お客様に氏名を伺った際、「恭子の『恭』は、恭賀新年の恭です」とおっしゃっても、「恭賀新年」という言葉を知らないため、正しい漢字に変換できなかったというケースがありました。お客様の住所や氏名は全て漢字で伺うため、書き取り能力が低いとクレームに繋がるリスクがあります。
　そこで、上記能力の向上をはかると同時に、「検定合格」という明確な目的を持って学習に取り組むことができる漢検を、新入社員研修の一環として導入することにしました。

3．取り組みと検定の効果

（1）取り組み内容
　研修期間中は1日に30分～1時間程度漢字学習の時間を設け、社費で購入した漢検の問題集を活用しました。
　受検級は、まず3級の取得を目指しました。既に3級を取得している社員は準2級以上の級を受検させました。検定料も問題集と同様、会社で全額負担しました。

（2）漢字検定を実施して得られた効果
　全員合格とはなりませんでしたが、目的をもって物事に取り組めたことに意義を感じています。新入社員研修では毎年新しい取り組みにチャレンジしているので、今後も改善を行いながら継続することを検討しています。

4．これから社会に出られる方へ

　早寝早起きといった、基本的な生活習慣を身に付けて社会に出てほしいと願っています。なぜなら、体調管理が不十分で遅刻もしくは欠勤をした場合、別の社員が余分に働いてカバーしなければならないからです。そのため、特に弊社では社員一人ひとりの勤怠状況を評価のポイントにしています。自己管理ができない社員に、安心して仕事は任せられません。基本的な生活習慣を、学生のうちにぜひ身に付けておいてください。

※掲載内容（所属団体、役職名等）は取材時のものです。