松尾芭蕉がつくったのは「俳句」じゃない?
松尾芭蕉は俳句を詠んだ俳人と思っているかもしれないが、正しくは「俳諧師」だ。
「俳諧」とは、五七五七七からなる短歌の上の句と下の句を二人以上で交互に詠み続ける「連歌」のうち、滑稽な要素を主とした「俳諧連歌」のことだよ。芭蕉は俳諧に自然や人生を詠み込んで芸術へと高めたんだ。
連歌の最初の五七五は「発句ほっく」といって特に重視され、江戸時代には発句だけをつくることが流行したんだ。私たちが芭蕉の「俳句」と思いがちな作品は、実際は俳諧の「発句」なんだ。「俳句」が独立した文芸となるのは明治時代になってからのことだよ。