第12回 今、あなたに贈りたい漢字コンテスト

第12回 今、あなたに贈りたい漢字コンテスト中学生部門 受賞作品

文部科学大臣賞
中学生部門 文部科学大臣賞 受賞作品

「期」

母 へ

息子 より

僕は反抗期。母は更年期、家の中ではホルモンバランスが戦い中。いつもお互い少しの事でケンカをしてしまう。きっとこんなのも期間限定。クラブの送迎に、食事作りや家事などいつもはちゃんと言ってないけど「ありがとうお母さん。」

中島 陽路 さん

熊本県・13歳・熊本市立五霊中学校

受賞者コメント

受賞するとは思っていなくとても驚きました。あの作品を書いた時は『反抗期』vs『更年期』は期間限定かと思っていましたが、来年受験を控えた今はその戦いも期間延長しそうな気がしています。
僕は今色々な時期で大変に思える事もありますが、その大変な事も少し時間をおくと今回の受賞のように良いことに変わることもあるんだなと感じるとともに、大切な事は何かを忘れずに生活していきたいです。

審査員からのコメント

伝えたい言葉、伝えたい想い。
それをこの「期」という漢字一文字に重ねて素直に表現なさいました。お母さんへ日頃言えなかった感謝の気持ち。本当に素敵な贈り物ですね。「期」という文字は私たちの日常でよく目にしますし、身近に感じる人も多いでしょう。この漢字の成り立ちにあるように、一定の日時や時間、区切りなどが想像でき、人生の節目のイメージも浮かびます。どうぞこれからも、その時々の心模様を見つめ、大切な人へ想いを届けて下さいね。

やすみりえ

日本漢字能力検定協会賞
中学生部門 日本漢字能力検定協会賞 受賞作品

「愛」

ひいおばあちゃん へ

ひまご より

沢山の愛を示してくれる大好きなひいおばあちゃん。認知症が進行して不安だよね。たとえこの先ひいおばあちゃんが全てを忘れても、私がひいおばあちゃんの全てをちゃんと覚えているから安心してね。何度でも出会える、初めましてから始まる会話も愛おしいの。

木村 朱花 さん

埼玉県・14歳・熊谷市立富士見中学校

受賞者コメント

この度は、このような賞をいただくことができ、大変光栄です。
入賞の知らせを聞いたときは驚きと喜びでいっぱいでした。
私のひいおばあちゃんは、これまで沢山の愛を注いでくれました。ですが、認知症を患い少しずつ物事を忘れるようになりました。症状は進行していきますが、大好きなひいおばあちゃんのありのままの姿が愛おしく、寄り添い続けたいと思っています。
この「愛」には、そんなひいおばあちゃんへの想いを込めました。
これからも一緒に過ごす穏やかな時間を大切にしていきたいです。
本当にありがとうございました。

審査員からのコメント

協会賞、おめでとうございます。
「何度でも出会える、初めましてから始まる会話」。ひぃおばあちゃんは認知症が進行して、あなたが誰なのか分らなくなったこともあるのですね。それを愛おしいと思えるあなたは、愛のある素晴らしい人です。
ひぃおばあちゃんは歳をとっていきながら、子どもに戻っているとも考えられます。いっぱい話かけて、話を聞いてあげてください。それに、認知機能を維持するには、文字を手書きすることも良いそうです。ひぃおばあちゃんと簡単な手書き文字のやり取りから初めて、交換日記など楽しいかもしれませんよ。
これからは「あなた」がひぃおばあちゃんに沢山の愛を示してください。

山崎信夫

審査員賞
中学生部門 審査員賞 受賞作品

「門」

自分 へ

自分 より

開、閉、闇、間。門という漢字は一文字足せば、明るい意味にも暗い意味にもなる。突然現れた門は未来への扉を開けてくれるかもだし、鍵をなくして人生の壁になるかもしれない。でも、どこかに鍵はある。人生の道は自分で開けられると、この漢字で伝えたい。

向井 遥 さん

東京都・12歳・明星中学校

受賞者コメント

この度はこのような賞を頂き、ありがとうございます。
このコンテストについて聞き、前回の入賞作品を見た時、入賞している作品は100文字程で小説のようなストーリー、送り相手への想いが伝わってきてすごいなと思いました。しかし、自分の作品は誰かへの想いなどではなく、「門」という漢字に込めた自分へのメッセージです。でも、このメッセージは私だけでなく、この社会を生きていく人へのメッセージにもなっています。これからの人生、色々あると思いますが、門という漢字を武器にして乗り越えていこうと思います。

審査員からのコメント

部首が門構えの漢字をいくつも挙げていただきました。自分自身へのメッセージを紡いだ純粋な言葉に、受け取ったこちら側も背中を押されます。すがすがしい力強さが漂っていて、作者は未来への自分へ想いを馳せ人生について考えを深めることができる人なのでしょう。こうして、漢字ひとつから様々な気づきを得ることができるのだと改めて気付かされました。仰るとおり人生の「門」の開け方は人それぞれ。想像力を豊かにしてくれる漢字は、生きるヒントも与えてくれそうです。

やすみりえ

審査員賞
中学生部門 審査員賞 受賞作品

「対」

両親 へ

私 より

私の両親は互いに気が合わないと言う。どんなところか聞いてみると、次から次へとエピソードが飛び出してきた。そんな二人に「対」という漢字を送りたいと思う。対照的だと思ったからではない。私には楽しそうに語る両親が二人で一つみたいに見えるから。

田中 佐奈 さん

福岡県・14歳・北九州市立永犬丸中学校

受賞者コメント

この度はこのような賞を頂き、ありがとうございました。両親はとても仲が良いのですが、何故か趣味も好みも、ふとした時の行動も全て真逆なのです。「気が合わないんだよね」と笑っている2人に私が感じる仲の良さを伝えたくて、思いが伝わる漢字を探しました。私にとって「対」は数学などでもよく使う、馴染みのある字です。「対照であること」と「2つで1組であること」の意味があり、これ以上ぴったりな漢字はないと思いました。受賞を聞いた時の2人の反応は同じで、飛び上がって喜んでくれました。早速「対」を贈った効果が出たように思います。選んでいただいたおかげで、父と母の微笑ましい様子を皆さんにも伝えることができ、大変嬉しく思います。

審査員からのコメント

ご両親を表す漢字として、この漢字を選ばれたとのこと。「対」には、向き合う・つりあうといった意味があるようです。気が合わないと言う2人の姿を眺めながら、この漢字を贈りたくなったのは作者の素晴らしい観察力のたまものですね。
お互いのことを楽しそうに語る夫婦のほほえましい様子が伝わってきました。

やすみりえ

審査員賞
中学生部門 審査員賞 受賞作品

「憧」

父 へ

光希 より

仕事場で漫画をかいているのをいつも見ています。アシスタントを雇わず、一人手描きでかいていて尊敬します。私もいつか父のような漫画家になりたいです。今年で画業二十五周年ですね。これからもファンのために漫画をかき続けてください。ずっと応援しています。

昌原 光希 さん

東京都・14歳・西東京市立青嵐中学校

受賞者コメント

まさか自分の作品が受賞するとは思いませんでした。
いままでこのようなことで京都に訪れるのは初めてだったのでうれしいです。

審査員からのコメント

漫画家として活躍する父の姿へ贈る「憧」。
作者から父へ、真っすぐな尊敬のまなざしが感じられます。画業25年を迎えられたとのことですが、何よりも嬉しいお祝いの一文字ではないでしょうか。「憧」は、理想とするものや目指すものを求めて思いこがれること。この気持ちは大きな原動力になるはずです。これからもこの漢字を胸に、実りある中学校生活を過ごして下さいね。

やすみりえ

佳作
  • 上江洲 由静 さん(大阪府・13歳・大阪市立桜宮中学校)
  • 谷 優花 さん(大阪府・14歳・大阪市立桜宮中学校)
  • 清瀬 東真 さん(東京都・13歳・サレジオ中学校)
  • 清水 萌衣 さん(宮城県・14歳・名学館富沢校)
  • 牧 彩莉 さん(神奈川県・13歳・東海大学付属相模高等学校中等部)
  • 土屋 天音 さん(東京都・15歳・女子美術大学付属中学校)
  • 松井 美乃花 さん(神奈川県・13歳・湘南白百合学園中学校)
  • 一瀬 桜湖 さん(沖縄県・13歳・昭和薬科大学附属中学校)
  • 新口 椿己 さん(石川県・12歳・中学生)
  • 坂本 絆奈 さん(神奈川県・14歳・横浜市立永田中学校)

※ 受賞者の都道府県、団体名、年齢、職業は応募当時のものです。

※ 基本的には応募作品の原文をそのまま掲載しておりますが、一部修正を加えている箇所がございます。ご了承ください。