「対話と協働」に必要な文章作成スキルを育成する
大日本印刷株式会社 人財開発部
水沼 康弘 様
会社プロフィール
事業内容:印刷事業(情報コミュニケーション部門、生活・産業部門、エレクトロニクス部門)・飲料事業(飲料部門)
代表者:北島 義斉
所在地:〒162-0062 東京都新宿区市谷加賀町1丁目1番1号
設立:1894年1月
従業員数:37,062名(連結)10,328名(単体)(2021年3月31日時点)
HP:https://www.dnp.co.jp/
「印刷と情報」の技術・ノウハウで社会課題を解決する総合印刷会社
大日本印刷株式会社(DNP)は、出版・商業印刷をはじめ、ICカード、マーケティング支援、包装、産業資材、電子部材まで幅広い事業を展開しています。創業以来培ってきた独自の「P&I」(印刷と情報:Printing & Information)の強みを掛け合わせるとともに、社外の多くのパートナーとの連携を深めて社会課題を解決し、人々の期待に応える「新しい価値」を創出しています。
論理的文章力育成コンテンツ導入の経緯
当社では、社内外の人たちと積極的に対話を繰り返し、協働していくことで、イノベーティブな製品・サービスを生み出すことができると考えています。この「対話と協働」ができる人財育成に向けて、当社は新入社員研修のテーマを「能動的・自主的な人財の育成」と設定しています。新入社員研修を通して、受け身の姿勢ではなく、主体的に仕事や自身のキャリア形成に取り組む社会人として、自立してほしいと思っています。
さらに、別途選抜された新入社員に対して行う長期研修があります。印刷やITに関する知識の体得と、業務に即したテーマでの演習を1年間かけて行うものです。また、社会人として成長する上で必要なヒューマンスキルの育成も行っており、その一環として、論理的文章力育成コンテンツを導入しました。コミュニケーション手法が多様化する今、対面での会話だけではなく、メールやチャット等、文章でのやり取りも重要です。どのようなコミュニケーション手法であっても、他者と「対話・協働」ができる人財を若手のうちから育成したいという思いがありました。また、印刷・ITに関する専門知識だけでなく、配属後の業務を進める上で必要な文章作成スキルの習得が、研修における一つの課題となっていました。研修後に配属される各部署からも「会議の議事録や資料などにおいて、関係者に共有した後も作成者の意図や内容が正確に伝わる文章を書けるように、新入社員を育成してほしい」という声もあり、そういったスキル習得につながるプログラムを検討していました。このような理由から、論理的文章力育成コンテンツの導入に至っています。
導入形態
入社から半月がたった4月中旬ごろ、まず研修担当者である私が文章作成に関するセミナーを行います。そこで新入社員に対して文章作成のメソッドを解説した上で、3種類の教材(『基礎から学べる!文章力ステップ』、『文章検 公式テキスト』、『文章検 過去問題集』の各2級)を配布しています。自主性を重んじているため、学習の進め方は各自に任せています。今年は5月に文章力のアセスメントツール『論理的文章力トレーニング for Business(以下、論トレ)』のアドバンスレベルを実施しました。アセスメントの日時と合格基準(得点率7割で合格相当)を伝えているので、合格基準を上回ることを目標に、プレッシャーを感じながら学習しているようです。
4月 5月
論理的文章力育成コンテンツの良かったポイント
論理的文章力育成コンテンツの良かったポイントは、2点あります。
1点目は、当社の研修スタイルと論理的文章力育成コンテンツの学びに対するアプローチが似ている点です。当社の研修では座学で印刷やITについて体系的に学んだあと、実際の業務に近いテーマで演習を行う仕立てにすることで、業務を推し進めるために必要な知識の定着を図っています。本コンテンツも同様に、論理的文章を書くためのメソッドを体系的に教材で理解し、その上でアセスメントの実践問題を解く仕立てです。この手法は当社の研修とマッチしており、新入社員にとって取り組みやすいと思います。
2点目は文章力を客観的に評価できるところです。研修担当者の数名が、新入社員が作成する報告書や週報の添削をしているのですが、プロではないので正しいフィードバックができているか不安に思うことがあります。『論トレ』では専門的な視点で採点され、受けた新入社員の文章力が数値化されるだけでなく、注意点のアドバイスがあるので、新入社員自身が内省し改善を図ることができています。
一連の研修を受講している新入社員からは、「スキルアップにつながった」「自分の文章力向上に、より努めようと思った」といった声が寄せられ、みな積極的に学習に取り組んでくれました。過去には、アセスメントで合格基準に達しなかった新入社員が自己学習を進め、同じレベルの文章力が問われる検定試験『文章読解・作成能力検定(文章検)』を個人受検※したことがありました。熱心に取り組んだ結果、その新入社員は合格をつかみ取ったそうです。
また、実際の文章にも変化が見られています。研修を通じて文章構成力が身に付いてきていると感じており、新入社員が作成する週報などの文章レベルが上がっていると感じます。この取り組みが配属後の業務に生きていくことを期待しています。
※『文章検』 個人受検に関する詳細はこちら
https://www.kanken.or.jp/bunshouken/personal/
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。