学校法人、各種教育機関の指導者様へ
団体受検 取組事例
大学・短期大学・専門学校
子どもたちの生きる力を育む“良い保育者”を輩出するために
関東 / 東京
学校法人聖心学園 東京保育専門学校
教務部主事 金子 淑江 様
教務部主事 香月 いずみ 様
学校紹介
本校は、キリスト教の愛の精神を、幼児たちのうえにあまねく注ぐことを建学の精神とし、浄く(きよく)・優しく・美しい保育者の養成を目指しています。これに基づいた教育方針として、(1)子どもに対して深い愛情を持って接すること(2)子どもたちの生きる力を養うために、子ども一人一人の言動や内なる声に適切に対応すること(3)子どもたちが互いに仲良く生活し、助け合うことの大切さを学び合えるようにすること、を常に心がけ、自ら学ぶ保育者の養成を掲げています。 そのため、学生は専門的な知識や技術の修得だけではなく、自己肯定感の醸成や相手に興味をもって接すること・互いを思いやることなどの経験を通し、その重要性について身をもって実感する必要があります。それでこそ、子どもたちにも自然と同じ経験をさせようと接することができ、良い保育者たり得ると考えています。
授業、実習を左右する「情報処理能力」・「文章作成力」
本校は文部科学省・厚生労働省から養成機関の指定を受けており、本校の学びを修了すると同時に保育士と幼稚園教諭二種免許状が取得できます。だからこそ、普段の授業や実習先での評価が非常に重要視されます。授業の理解度に通ずる「情報処理能力」と実習先での日誌作成のための「文章作成力」は、その評価を大きく左右するため、早いうちに身につけておく必要があります。 しかし実際には、授業で先生の話を耳で追いながら、板書や教科書の内容を確認するといった複数の情報に対する処理が追い付かず、授業内容を理解できないまま定期試験を迎えるという学生が少なくありません。そうすると、試験で結果が出せず、良い評価を得ることができません。また、実習先で作成した日誌の内容が分かりにくい、誤字脱字が多いといった文章作成力の低さによって、評価を下げてしまう学生も一定数います。 そこで、本学では1年次の前期に、国語の授業の中で「文章読解力・作成能力検定」(以下、「文章検」)に向けた取り組みを行っています。教材は『基礎から学べる! 文章力ステップ(以下、『文章力ステップ』)』の3級・4級を採用し、授業内で指導に活用したり、夏休みの課題として取り組ませたりしています。その後、秋に1年生全員で「文章検」3級・4級を受検し、能力がきちんと身についているかを確認しています。
授業理解度と実習日誌の質の向上
文章検の取り組みを始めてから、課題としていた「情報処理能力」「文章作成力」に改善が見られるようになってきました。「文章検」の学習で文章の構造が理解でき、授業内容の理解がスムーズになった、実習日誌の添削回数が減った等、学生たちの前向きな声を多く耳にします。なかには、文章の理解度が上がったことで、学ぶことそのものに対するモチベーションが上がったという声もありました。実際、「文章検」の合格率も約75%(2020年度)と大半が合格を手にしており、学生の頑張りが目に見える形でも表れていると思います。 また、「『文章検』合格で初めて公式な成功体験を得た」「皆で同じ目標に向かって頑張るという経験を初めてした」という学生もいて、ある種強制的に授業内で指導し、検定を受検させたことによる副次的な効果も感じています。まさに、我々が学生たちに実感しておいてほしかった自己肯定感の醸成や互いを思いやる経験につながる部分でもあり、学校主導のもと1年生全員で取り組む意義を改めて感じることができました。
中高生の皆さんへ
保育士・幼稚園教諭といった保育者は、目の前の子どもはもちろん、その保護者や地域の関係者など、様々な世代の方とのコミュニケーションが仕事であるといっても過言ではありません。保育者を目指す皆さんには、積極的に人との関わりをもち、相手に興味をもって接することの大切さを実感してほしいと思っています。そうすることで、コミュニケーションが重要な、保育者という仕事への理解が深まり、進学後の学びにもつながるはずです。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。