学校法人、各種教育機関の指導者様へ
団体受検 取組事例
大学・短期大学・専門学校
「地域医療に貢献できる」看護師に必要な能力の育成
関東 / 埼玉
坂戸鶴ヶ島医師会立看護専門学校
副学校長 三原 千か代 様
教務係長 阿佐美 夕姫 様
学校紹介
本校は、埼玉県坂戸市・鶴ヶ島市にある保健・医療・福祉施設を中心に、地域住民の健康に関するニーズに応えられる看護師の育成を理念としています。そのため、看護実践者として必要な知識・技能・態度の育成はもちろん、地域への愛着や、看護の対象も自身も同じ地域で生活しているという実感も重要です。地域医療に根差した看護実践者の育成を目指しています。
相手の立場で考え、伝えるために必要な「言葉の理解力」
地域医療の従事者は、地域で暮らす全ての人の健康をサポートし、常に医療が受けられる状態を維持する必要があります。そのために、まずは看護実践者として「専門知識・技術に基づき、対象者にとって最適な健康状態を支援できる能力」が必要です。また、社会や対象者のさらなるニーズに応えるため、看護の質の向上を目指す「探求心」や「生涯にわたって学ぶ姿勢」が必要となります。 そして、地域医療の貢献に何よりも必要なのは、全ての世代の方に対して「思いやりのあるコミュニケーション」をとることです。それは、相手の状況や診察の情報等を見ながら、「相手の立場で考え、相手にとって分かりやすい言葉で物事を伝える」ことだと考えています。そうすることで、相手と信頼関係が生まれ、より良い看護を行うことができ、その結果「地域医療への貢献」につながると考えています。 しかし、学生を見ていると、相手の立場に立つために必要な「相手の言葉を正しく理解する」ことが十分にできていないと感じます。授業や実習先での学んだことを文字情報としては認識していても、内容の理解に至っておらず、尋ねると自身で説明・再現ができない学生が少なくありません。そこには、言葉の持つ意味を曖昧なままにしている、もしくは知らないといった学生の語彙力・表現力の乏しさがあると感じています。そのため、「相手の言葉を正しく理解する力」を身につけるために必要な語彙力・表現力の育成が急務であると考えました。
「語彙力・表現力」の向上と国家試験対策
この力を育成するため、本校では入学前説明会で課題として『基礎から学べる! 文章力ステップ(以下、文章力ステップ)』を配布し、入学後全員で文章読解・作成力検定(以下、文章検)を受検しています。1年次では入学前の学力差等も考慮して一番基礎レベルの文章検4級を受検させます。2年次では1年次の結果を踏まえ受検級を設定するようにしています。 文章検導入の決め手は3点あります。まず1点目は、一番の課題だと感じていた学生自身の「語彙力・表現力」の向上に繋がると感じたことです。そして、2点目は検定(ゴール)に向けて計画的に学習する経験ができること、3点目は学習の成果を検定の合否で可視化できることです。 2・3点目は、看護学生に必須である国家試験に向き合う姿勢を醸成する一助にもなると考えています。国家試験は結果が全てであるため、合格に向け自身で学習を計画する経験や試験の緊張感に慣れることは、とても意義のあることだと感じています。また、学習期間を入学前に設定することで、入学後すぐに始まる専門科目の授業や実習の理解度も高まると考えました。
振り返りで見えてきた優先課題への取り組み
2018年度から文章検を導入し、毎年、前年度の検定結果や入学生のレベルを参考に受検級が妥当かどうか見直すなど、試行錯誤しながら取り組みを進めてきました。そして、2020年度までの文章検の取り組みを振り返った結果、やはり特に強化すべき優先課題として「語彙力」の向上が見えてきました。課題解決に向け、2021年度は漢検 準2級合格に挑戦しています。 今後も検定結果や学生の状況を見ながら、より効果的な検定・教材を活用していきたいと考えています。
中高生の皆さんへ
専門学校は、入学時点で特定の職業に向けたカリキュラムが設定されていることが多いと思います。だからこそ、入学を考える前に自分が目指す職業についてしっかりと調べた上で、学校を選択してほしいと感じています。 看護学校は、他の専門学校に比べて実習が多く、忙しい日々が続きます。そのため、看護師を志す学生に一番大切にしてほしいことは「看護師になりたい」という熱量や、諦めずに努力する姿勢だと思っています。まずはその熱量・姿勢を持って看護学校を選択していただけると嬉しいです。そして看護を学ぶために本校に入学された際には、私たち教員が全力でサポートします。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。