学校法人、各種教育機関の指導者様へ
団体受検 取組事例
大学・短期大学・専門学校
充実した大学生活を支える「文章力」
中国・四国 / 広島
[私立] 広島経済大学
経済学部 経営学科 4年 日本語SA(Student Assistant) 木村 純 様
■学生が抱える文章力の悩み
本学では、学生・大学院生ら学習支援員(以下、SA)が学生の学びを支援するSA制度(※1)を設けており、私は日本語SAとして、必修科目「日本語文章表現(※2)」で学生が取り組む意見文作成の支援を行っています。毎週のように相談を受けており、非常に多くの学生が自分の文章力に課題感を持っていると感じています。
本学SAは、指導方針として「相談者の学習意欲を向上させるため、いきなり指導するのではなく、まず相手の悩みを丁寧にヒアリングし共感したうえで、苦手分野を共に克服する」ことを掲げています。私たち日本語SAも、まずは「苦手な箇所はどこか」「なぜ苦手なのか」など相談者の悩みを聞き、共感し、克服する意欲を高めたうえで、具体的な指導を行っています。
相談者である学生からは、「テーマに対する意見が思いつかない」「どのような順番で組み立て、書いてよいかわからない」といった悩みを聞きます。他にも、意見と根拠の繋がりが薄弱な文章や、一文が長く意味が伝わりづらい文章なども散見されます。そういった学生は大学の授業レポート作成も同様に苦労しているようです。
■「文章検」の学習を通じて得られたこと
私は、今でこそ学生の文章力向上を支援する立場にありますが、高校時代は文章作成に苦手意識を持っていました。高校では行事ごとに感想文を書く機会がありましたが、何を書いてよいかわからず時間ばかりが過ぎていました。
苦手意識を持ったまま大学に進学した私は、すぐに文章力の大切さを痛感しました。大学は授業ごとのレポートなど、高校と比べて文章を作成する頻度が圧倒的に高まります。また、感想文とレポートの違いにも困惑しました。テーマに対して自分の主観を述べる感想文と異なり、レポートはテーマから論点を抽出し、それに対する意見を述べ、意見を支える根拠を示すことが求められます。当時はひとつひとつの授業レポート作成に時間がかかり、とても苦労したことを覚えています。
文章作成に対する苦手意識を払しょくできたきっかけは、本学の必修科目である「日本語文章表現」を履修したことでした。「日本語文章表現」では、文章検の教材を用いて文章作成の考え方を学び、毎週のように意見文を作成します。簡単ではありませんでしたが、考え方を理解し繰り返し意見文を書き続けた結果、文章作成への苦手意識は薄れていきました。
「日本語文章表現」での学びは、他の授業にも良い影響を及ぼしました。先述のとおり、レポートは自分の考えに根拠を示して作成することが求められます。事実と意見、根拠を整理して書き分けるといった文章検の考え方をもとに書き進めることで、授業のレポート作成にかかる時間が短くなり、同時に質も高まりました。
また、「日本語文章表現」の学びは、論理的思考力の成長にも繋がったと感じています。書籍やデータなどから筆者の主張・根拠を読み取り、それらがどのような繋がりを持っているのかを考えることは、授業の理解や資格取得の勉強などさまざまなところで役に立っています。
■高校生の皆さんへ
文章力は皆さんの大学生活を有意義なものにします。短時間で質の高い授業レポートが書けると、授業の学びが深まるだけでなく、単位の取得もスムーズになります。また、レポート作成(とても時間がかかります)にかかる時間が短くなることで、空いた時間を資格試験の勉強やサークル活動、アルバイトに充てることもできます。皆さんが文章力を武器に、より充実した大学生活を過ごされることを願っています。
※1 SA制度
学生の学力向上、学習支援を通じたSAのコミュニケーション能力・問題解決能力の向上、学内の学術的な風土の向上に寄与することを目的に、学生・大学院生らSAが学生の学びを支援する制度。約20名のSAが日本語・簿記・英語の担当分野で分かれており、そのうち4名が日本語SAとして活躍している。
学生の学びを支援するためには高いレベルの知識・スキルが必要であり、日本語SAは文章検の最上位級である2級レベルの合格を必須条件としている。
※2 「日本語文章表現」
1年次生全員を対象とした必修科目。『基礎から学べる!文章力ステップ 文章検 準2級対応』を教材として活用し、授業と併せてほぼ毎週500字程度の意見文を作成している。また、文章検3級レベルの合格を単位認定の要件としている。(大学のお取り組みはこちらをご覧ください)
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。