学校法人、各種教育機関の指導者様へ
団体受検 取組事例
大学・短期大学・専門学校
「職業別に求められる日本語能力」を育成するために
中国・四国 / 岡山
専門学校 岡山情報ビジネス学院
教務部 課長 岩﨑 千鶴 様
グローバル推進課 課長 難波 芳子 様
■ 学校紹介
専門学校 岡山情報ビジネス学院は、全15学科を有する総合専門学校です。即戦力となる知識やスキルはもちろん、“学生の幸せ”を第一に考え、「いかなる知識・技術も、それを活用する人間によって有意か否かが決まる」という前提のもと、人間力の育成にも力を入れています。また、学生が社会で活躍するために必要な「職業別に求められる日本語能力」を育成するため、ホテル・ブライダル学科、保育学科、国際ITシステム学科で文章検コンテンツを活用しています。
■ 文章検で「一般教養」を体系的に育む~ホテル・ブライダル学科~
ホテル・ブライダル学科の学生の多くが就職する業界では、接客・接遇のスキルが欠かせません。目の前のお客様の要望を汲み取り、最善のサービスを考え、適切な表現を用いて臨機応変に対応する必要があります。 本学科では、接客・接遇の場面で求められる一般常識や表現力を育むため、1年生を対象に「一般教養」という授業を行っています。「一般教養」では、文字を綺麗に書く力・常識を踏まえる力・相手に配慮する力・正しい言葉遣いでの表現力・相手を動かす文章力を育むことを目的に、ペン字・一般常識・SPIなどに取り組んでいました。今回、これらの力をより体系的に育むため、文章検を導入しました。 授業では『基礎から学べる!文章力ステップ(以下、『文章力ステップ』)』を採用し、3級合格を目標に指導しています。学習の効果として、学生の語彙表現や文章の質が向上し、キャリア実習時にまとめるレポートは、より内容の濃い文章に仕上がっています。また、自分の書いた文章が相手にとって読みやすいかなど、学生が文章の組み立て方を意識するようになりました。学生の意識に変化が見られたのも良い効果です。 最近ではその影響から、目上の方に対する言葉遣いやアウトプットの仕方について良い評価をいただくことも増えてきました。「一般教養」の取り組みに手ごたえを感じています。
■ 保育現場で活きる文章力の育成~保育学科~
保育学科の学生の多くが就職する保育現場では、日誌や指導案、保護者へのおたより、連絡帳へのコメントなど、日常的に文章を書く力が求められます。文章検導入のきっかけとなったのは、保育実習先の園長先生から「最近学生の文章力が落ちている」と指摘を受けたことでした。このような声を受け、保育者として必要な力を育成すべく、本格的に文章指導に取り組み始めました。 本学科では、1年生の「国語」で3級合格を目標に指導しています。『文章力ステップ』を中心に授業を展開し、確認テストや宿題には『文章検 公式テキスト』を使用しています。 文章検導入後、保育実習先から学生の文章力に関して指摘を受けることが少なくなりました。日誌や指導案を書くために必要な文章力が身についたということだと思います。また、文章力に対する課題が解決されたことで、園児との関わり方や保育の実技力など、専門的な知識・スキルの指導により注力できるようになりました。
■ 留学生×文章検への挑戦~国際ITシステム学科~
国際ITシステム学科には外国にルーツを持つ学生が在籍しており、JLPT(※)の対策や文法など、日本語に関する授業を1年生で約400時間行います。文章検は「基礎日本語学」という授業に位置づけ、『文章力ステップ』を使って4級レベルの内容を指導しています。 1、2年生32名中20名がJLPTのN2レベル(※)に合格しましたが、文章検4級の合格者はわずか2名でした。結果を見ると一見難しい取り組みに思えますが、留学生が文章検に取り組むことに意義を感じています。 留学生が日本で就職する場合、日本語スキルとして求められるのはJLPTのN2レベル以上です。このレベルを取得していれば最低限の日本語能力は身についていると言えるでしょう。しかし、JLPTは読解問題が中心で、「書く」問題は出題されません。本学科の学生の多くが日本のIT系企業への就職を希望しており、そこでは日本語で指示書や仕様書を「書く」力が求められます。たとえ日本企業の現地法人勤務であっても、日本と海外のブリッジエンジニアとして日本語でのコミュニケーション力は必須です。このような観点から、より発展的な学びとして文章検を活用したいと考えました。また、日本での就職を志す外国人留学生にとって、ネイティブの日本人学生と同じ教材に挑戦することはモチベーションアップに繋がります。 今後は、文章検4級で使用される語彙を身につけ、日常的な文章を読み書きできるよう指導を続け、学生たちの夢を叶えるサポートをしたいと考えています。
※ JLPT…日本語能力試験(Japanese-Language Proficiency Test)。日本語を母語としない人たちの日本語能力を測定・認定する試験。N2は、日常生活に加え幅広い場面で使われる日本語をある程度理解できるレベル。※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。