学校法人、各種教育機関の指導者様へ
団体受検 取組事例
大学・短期大学・専門学校
保育者として長く活躍できる人材を育成するために
関東 / 神奈川
学校法人岩崎学園 横浜保育福祉専門学校
教務部 次長 田中 君枝 様
教務部 教務課 主任補佐 遠山 真美子 様
輩出したい人物像と必要な能力
本校は、岩崎学園のグループ校として、神奈川・横浜の地域社会に貢献できる保育者を育成する専門学校です。教育理念に、①子育て支援の中核を担う専門技術の習得、②人間性と社会性の確立、③コミュニケーション力の涵養を掲げており、社会性を備え、自主性・主体性を持って自分で考えられる人材の育成に力を入れています。取得できる資格は「保育士」という名称ですが、本校では“保育士の資格を持って活躍できる人”という意味を込めて「保育者」と呼んでいます。
子どものお手本となる保育者には、当然ながら人間性や社会性が求められます。また、子どもたちや保護者、他の保育者と関わり、お互いに成長していくためにはコミュニケーション力や忍耐力、想像力が必要です。保育士の資格は最短2年で取得することができますが、本校ではあえて3年制を採用し、知識の習得に2年、保育や福祉の現場経験に1年とゆとりをもった教育プログラムを実施しています。そうすることで、保育者としての専門性を高めることはもちろん、現場でできる限り長く働くために必要な力を身に付けられるようにしています。現場では即戦力が求められており、机上で学んだこと以上に現場での経験が重要です。この最後の1年が、保育者として長く活躍するための能力の育成に繋がっています。
取り組むべき課題
保育の仕事では、日誌や記録の作成など、日常的に文章力が求められます。どんなに保育の専門性が高くても、保育の実態や子どもの様子を記録する文章力が不足していると、保育者として長く活躍することはできません。そのため、アドミッションポリシーでも「専門的な学習に必要な文章読解・表現力を身に付けていること」を明示しています。入学前には読書感想文を課し、校長自らが採点して優秀な作品を入学式で表彰するなど、入学前から文章力を意識してもらうように促しています。
また本校では、3年間を通じて独自科目「社会人基礎」を設定しています。1年次は「文章力の向上」を年間目標とし、科目内で受講したセミナーや講話のレポートを毎回書かせて担任が添削しています。この取り組みは、2年次の実習を見据えて行っているのですが、就職すると、記録だけでなく保護者対応や企業・法人グループ内の保育士研修など同僚以外とのコミュニケーションの機会も多いため、自分の考えを的確に伝えられる力がないと社会人として困るということも学生に伝えるようにしています。
そのほか、2年次には様々な現場や地域でのボランティア活動経験を積んでもらい、後日プレゼンテーションの機会を設けています。また3年次には集大成として卒業研究を課し、3年間を通じて文章力の育成に力を入れています。
「文章検」を活用する目的
前述のとおり、本校では1年次の年間目標として「文章力の向上」を掲げています。保育・福祉の現場で長く活躍するために、文章力は必須のスキルです。「社会人基礎」科目ではレポートを書かせていますが、それ以外にも基礎的な語彙力や読解力など、文章力向上のために必要な知識や能力を身に付けるため、「文章検」を活用しています。
「文章検」の学習指導
本校では、1年次の「国語」の授業で「文章検」3級の学習を行っています。教材は協会発行の『基礎から学べる!文章力ステップ』を採用し、1月の受検を目指して4月から取り組んでいます。カリキュラムは過去問をベースに作成し、「文章検」3級で求められる能力が身に付くような授業を展開しています。
「文章検」の効果
学校として文章力の向上に取り組み始めて以降、実習先からの評価が格段に良くなりました。特に日誌・記録は実習指導の重要なポイントの一つなのですが、「細かいところまで観察結果が記録されていて、子どもの様子がよく伝わってきた」など、お褒めの言葉をいただく学生が増えました。実習ではほかにも様々な観点について5段階評価されるのですが、日誌・記録の評価が高い学生は全体的にも高い評価を得ています。そして、「文章検」で高得点を取った学生は、実習先からの評価が高い傾向にあると感じています。
保育・福祉の現場で活躍するためには、文章力が必須です。「文章検」は、学生にとっても教員にとっても、文章力向上の目安となっています。今後も「文章検」の取り組みを続けるとともに、惜しくも不合格になった学生たちには再受検の機会を与え、自信を持たせてあげたいと考えています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。