学校法人、各種教育機関の指導者様へ
団体受検 取組事例
大学・短期大学・専門学校
学生全員が身につけるべき能力の育成
中国・四国 / 広島
[私立] 広島経済大学
教養教育部 教授 木本 一成 様
教授 岡本 恵子 様
■「ゼロから立ち上げる」興動人の育成
本学は、建学の精神「和を以て貴しと為す」、立学の方針「大学の道は明徳を明らかにするにあり」に基づき、真理の探究と、豊かな人間性の涵養を通じて、「正義と勤労を愛し、品格高く責任を重んじ、もって国家社会の発展に貢献し得る人材の育成」を目指しています。
この育成すべき人材像を、現代社会のニーズをふまえて明確に表現したものが「ゼロから立ち上げる」興動人です。すなわち、「既成概念にとらわれない斬新な発想と旺盛なチャレンジ精神、そして仲間と協働して何かを成し遂げることのできる力を備えた人材」のことです。このような人材を育成することによって、地域の経済、文化、スポーツ等の発展に寄与することを目指しています。
■必要不可欠な日本語表現能力
社会では、自分の考えを相手に伝える、相手の考えを正確に理解するコミュニケーション能力が求められます。そのとき、コミュニケーション能力の基礎となるのが日本語能力です。また、レポート・論文などのアカデミックライティング、ゼミやクラスでの議論・プレゼンテーションなど、大学の学びにおいても日本語能力は欠かせません。そのため、本学では学生全員に大学で学ぶために必要な基礎的日本語能力を身につけさせること、さらに希望する学生に対しては社会で求められるレベルまで引き上げることを目指しています。
■日本語能力育成における文章検の活用
本学では、約850名の1年次生全員を対象に「日本語文章表現」という必修科目を設定しています(前期15コマ)。授業では、文章検の教材である『基礎から学べる!文章力ステップ 文章検 準2級対応』を採用し、学生にほぼ毎週500字程度の意見文を書かせています。初めはほとんどの学生が苦手意識を持ったまま授業に臨みますが、授業が進むにつれ、文章への抵抗感が薄れ、整合性のとれたわかりやすい意見文を作成する学生が増えていきます。
作成した意見文について学生同士で相互に評価し合う機会を設けています。加えて、「日本語文章表現」では、文章検3級レベルの合格を単位認定の要件としており、初回の授業でその旨を伝えています。そうすることで、他の学生や検定試験による評価など、他者からの視点を念頭に置いて文章を作成する意識が芽生えます。目的に応じた客観的な文章への転換を図るのです。
「日本語文章表現」の取り組みは、大学で学びを深めるために必要な思考力の育成にも繋がると考えます。文章検の意見文作成問題は、例えば「苦手教科を克服するための対照的な2つの勉強の仕方」といったようなどちらの立場にも立てるテーマに対し、どちらかの立場に立って意見を述べさせます。そこでは「テーマ(論点)を正確に捉える」「それぞれの立場の意見を相対化する」「相対化した上で分析し、自分の意見を決める」「意見を相手に伝える」プロセスが求められます。1年次生前期の時点でこのプロセスを繰り返し経験しておくことは、学生のその後の学びにおいて非常に有意義なはずです。
学生には授業後に気づきや感想を書かせていますが、「この授業がなかったら文章の書き方を知らないままだった」などといった内容を多く目にします。そういった学生の声に喜びを覚えると同時に、学生自身も日本語能力に課題を感じ、高める機会を求めているのだと感じています。
■文章検を基盤とした日本語能力育成の取り組み
本学では、「日本語文章表現」で身につけた基礎的な日本語能力を踏まえ、文章検2級レベルの合格を目標とした「文章表現演習・発展」や、エントリーシートや履歴書・ビジネス文書の書き方を学ぶ「ビジネス日本語演習」、基礎教養としての文学の授業や創作を柱とする文芸創作の授業など、社会で求められる日本語能力を育成するために様々な授業を展開しています。
また、文章検2級取得者は「日本語SA(Student Assistant)」として他の学生の学習支援をすることができます。(※日本語SAへのインタビューはこちらをご覧ください)彼らは身につけた日本語能力を他の学生に還元するだけでなく、指導経験を通じて自身の日本語能力をさらに高めていきます。
■高校生の皆さんへ
今の時代、「学ぶ」ことは学生時代にとどまりません。社会に出てからはもちろん、私たちは生涯学び続ける人生を送ることでしょう。日本語能力は学び続ける上でも必要です。国語の授業があまり好きでないという方も、どうか言葉を見つめ、使う言葉を大切にしてください。また、大学に進学された際は、ぜひ興味を持って授業に臨んでみてください。大学には学生の皆さんが大きく成長するきっかけがたくさんあります。皆さんが大学進学後様々な学びを通じて大きく成長されることを願っていますし、もしそれが本学であればとても嬉しく思います。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。