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中学校

社会に出て必要とされる「考え抜く力」を身につけるために

国語科 主任 大塚 哲也 様国語科 重原 早紀 様

関東 / 東京

[私立] 東海大学菅生高等学校中等部

国語科 主任 大塚 哲也 様

国語科 重原 早紀 様

生徒に身につけさせたい力

 本校は、教育目標のスローガンとして「Dream ALL」を掲げています。Dreamは「夢」、ALLは「Act(行動)」、「Learn(学び)」、「Live together(共生)」の頭文字を表しています。このスローガンには「中学時代に確かな夢を持ち、育み、大きく膨らませて、将来はその夢を実現してほしい」という願いが込められています。
 国語科では、卒業後も向上心を持って、興味を抱いたことを探求しつづけられる人材を育てていきたいと考えています。そのためには、「考え抜く力」が重要な資質です。この力は国語だけではなく、どの教科を学ぶうえでも基礎となる力であり、社会に出てからも必要とされる大切な力です。

今の生徒を取り巻く環境

 近年、スマートフォンやSNS等が瞬く間に世の中へ広がりました。生徒たちは、これらが当たり前にある環境で育っていますし、普段からSNSで短い文章を書き慣れているせいか、端的に自分の意見を述べることは得意なようです。一方、長い文章を書き慣れていないことで、必要のない箇所で頻繁に改行してしまう、句読点が適切に打てないといったことが散見されます。
 また、私たちが子どもの頃は、知りたいことがあっても何を調べればいいのかわからないことや、図書館に行って調べてもなかなか欲しい情報にたどり着けないことがありました。わからないまま一晩悶々と考えて、翌日もう一度図書館へ行ったり、先生に質問したりして、膨大な時間を費やし、疑問を解決していたものです。しかし、現代はインターネットで知りたいことがすぐに検索できる。とても便利な時代になりました。その環境に甘え、考える前にインターネットで検索する、検索結果を鵜呑みにする生徒もいるようです。生徒たちには、調べてわかったことを起点に、さらに思考を深められるようになってほしいと思っています。

国語科における文章指導

 生徒一人ひとりが「考え抜く力」を身につけるために、本校の国語科では校内主張大会に向けた作文をはじめ、最低でも年5回は全員が文章を書いています。その目的は二つ。一つは文章を書くことに対する苦手意識を軽減するため。もう一つは、特定のテーマについて考えをめぐらせ、演繹的に推論するトレーニングをするためです。
 さらに、文章を書く過程を体系的に学び文章力として定着させるために、3年生の特別進学クラスで、『基礎から学べる!文章力ステップ』の4級を活用して指導を行い、「文章検」4級を受検させています。本校では1年生から「漢検」に取り組んでおり、そこで身につけた語彙の運用能力を高める機会としても、「文章検」は有効だと考えています。
 また、校内に無線LANを整備し、各生徒にタブレット端末を1台ずつ支給するなど、ICT教育にも力を入れています。特に国語科では「ロイロノート・スクール(※)」を活用しており、教員は生徒の解答をリアルタイムで確認しながら、次の発問をしています。発問には記述で答えさせることが多く、生徒の手が止まることはほとんどありません。授業や「文章検」の合格をきっかけに、文章力に自信を持つ生徒が増えたのだと思います。

変化しつづける社会を生きる生徒たちのために

 夏目漱石の『こころ』に「精神的に向上心のない者は馬鹿だ」という一節があります。私たちも、自分たちの指導が本当に良いものなのか、もっと良い方法があるのではないかと日々自問自答しています。より良い指導とは何かを考えるときに、切っても切り離せないのが社会の変化です。教員は、社会がどう変化していて、社会で何が求められているかを把握し、その変化に柔軟に対応して指導の内容や方法を変えなければならないと考えています。
 そして今、社会の変化に伴い必要とされている指導の一つが文章指導です。文章指導は、短期的には文章を書くことに対する苦手意識の軽減、中期的には大学入学共通テストにおける記述式問題への対応、長期的には社会で必要とされる「考え抜く力」や「論理的思考力」の定着という大きな役割を担っています。
 教員として、社会の変化を意識しながら指導に臨み、生徒とともに成長しつづけることはとても楽しく、やりがいを感じます。そして、「考え抜く力」を身につけた生徒たちが、将来社会で活躍してくれることを心から楽しみにしています。

※ロイロノート・スクール・・・授業支援ソフト・アプリの一種

※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。


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