学校法人、各種教育機関の指導者様へ
団体受検 取組事例
高校
言葉を大事にし、言葉の力を育むための漢検・文章検の活用
九州・沖縄 / 福岡
[私立] 福岡雙葉中学校・高等学校
国語科 森田 亜紀 様
■本校の紹介
本校は、教育理念にグローバルシティズン「神の恵みに感謝し、地球社会の一員であることを自覚し行動する人」を育てることを掲げています。そのために、「高い学力」「高い志」「高いコミュニケーション能力」「豊かな心と品性」の4つを常に学びの根幹に据えています。大きな特色である「英語教育」を中心に、オンライン授業やデジタル教材を活用した「ICT教育」、主体性育成の「総合学習・総合探究」に積極的に取り組んでいます。
■生徒の夢を叶えるために、国語科として身につけさせたい3つの力
高大接続改革に伴う大学入試の改革、学習指導要領の改訂など、近年教育の環境は大きく変化しています。それは本校も例外ではありません。また、本校には特色ある複数のコースがあり、年々指定校推薦や学校推薦型選抜・総合型選抜など様々な入試方法で進学を希望する生徒が増えてきました。このような背景を踏まえ、生徒の希望進路、ひいては生徒の夢を実現させるために、国語科では生徒に身につけさせたい力を以下の3つに整理しています。
1) 語彙力
・日常で使うことができる言葉を増やす
・場面に適切な言葉を選んで表現することができる
2) 読解力
・正しく、想像力豊かに読むことができる
・読み取った内容から考えを深めることができる
3) 情報活用能力
・場面に応じて、必要な情報を取り出すことができる
・限られた時間内で正しく情報を整理できる
これらは校内誌「進路の手引き」に記載し、全校生徒・保護者・教員に周知しています。そして、3つの力を育むために、シラバスの構造を作品起点のものから育成すべき資質能力を起点とした構造へと変更しました。これにより、作品に縛られ過ぎることなく、模試等の結果を見ながら、その時々の生徒の状態に合わせて柔軟に指導内容を変更することができています。現在はまだ一部の国語科教員の取り組みとなっていますが、将来的には全校的な取組に昇華させたいと考えています。
■言葉の力を育む漢検・文章検
本校では、校外の客観的な指標をもとに自身の学力を測定・可視化し、現在の立ち位置を明らかにすることを目的に各種検定を実施しています。また、本校では指定校推薦等の校内選抜において、各種検定及び資格を取得している生徒を積極的に評価しています。元々意欲的に取り組む生徒が多いことも相まって、希望者を対象にした検定であっても毎回多くの生徒が受検しています。
日本漢字能力検定(以下、漢検)、文章読解・作成能力検定(以下、文章検)もそのひとつですが、国語科としては、先述の3つの力を育む重要な検定としても位置付けています。
▼漢検の価値
漢検は、漢字の読み書きだけでなく、誤字訂正や部首、熟語等様々な分野から出題されており、複数の観点から生徒が漢字を深く学ぶきっかけをつくることができます。
漢字の構造や意味などを深く学ぶことは、結果としてその語を使いこなす、語彙力の育成に繋がります。
そして、生徒の漢字・語彙力のさらなる向上を目的に、今年度から国語科定期テストの漢字問題の出題内容に変化を加えています。これまでは漢字の読み書き問題を中心に出題していましたが、誤字訂正や類義語・対義語など、言葉の意味を理解していないと解けないような問題を中心に出題しています。これらは漢検を意識した出題内容でもあり、生徒の語彙力向上と併せて、一人でも多くの生徒の漢検合格に繋がることを期待しています。
▼文章検の価値
文章検は、文章の構成や敬語の使い方など「相手に伝わる文章とはどのようなものか?」を学ぶきっかけになっています。小論文や志望理由書など入試で文章作成が求められる推薦・総合型選抜を希望する生徒には特に受検を薦めています。本校では日ごろより文章を読ませる・書かせる機会を多く設けているからか、比較的多くの生徒が合格している(資格を取得している)ことも、受検する生徒の励みになっているようです。
また、文章検の教材は、論理的な文章を書くための方法が体系的にまとめられており、生徒にとって、書けるようになるには何をすればよいかが明確に示されている点が価値であると考えています。そして、その学習効果は資格取得以外にも発揮されていると感じています。本校のGL(グローバル・リーダー)コースは、対外的なプレゼンテーションの機会が多くありますが、プレゼンテーションの構成の検討はもちろん、それぞれの項目を繋ぐ接続詞の使い方など各所に文章検の学びが活きています。
本校が掲げるグローバルシティズンの育成において、世界を相手に母語を用いて自分の考えや自国のことを伝える力は必要不可欠です。漢検や文章検は、生徒が言葉を大事にし、言葉の力を育む上での重要なツールとして今後も活用を続けていきたいと考えています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。