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「大学入学共通テスト」への対応と、高等教育で求められる力の育成に

国語科主任 竹端正視 先生国語科副主任 矢野隆久 先生

近畿 / 大阪

[私立] 早稲田摂陵中学校・高等学校

国語科主任 竹端正視 先生

国語科副主任 矢野隆久 先生

輩出したい人物像と必要な能力

 早稲田摂陵中学校・高等学校では、「自律・責任・質実」の校訓に基づき、社会の一員として、責任ある行動と誠実な対応ができる、品格と教養のある人間の育成を目指しています。またそれとともに、生徒一人ひとりが個性と才能を発揮し、充実した知力と体力を備えた人間になって欲しいと願っています。
 グローバル社会の現代、日本人にもこれまでより広いフィールドでの活躍が期待されています。そこで対話をしていく際には、話す言語だけでなく、話す内容が重要だと思います。「自分の思いや主張をどう伝えるか」といった内容を考えるには、母国語である日本語の力がなくてはなりません。
 グローバル社会では、多様な人々と互いに助け合える関係を築いていく必要があります。そのためには、高いコミュニケーション力が不可欠です。コミュニケーション力とは、自己主張をすることだけでなく、相手の話を聞き、受けとめることも含みます。
 また、近年はAIの発展がめざましく、知識や情報の詰め込みだけではもはや意味をなさない時代になっています。インプットした知識や情報を、状況や相手に応じて適切に変換しアウトプットする力が求められています。
 これから社会に出る子どもたちに、これらの力を身につけさせる必要性は、特に近年高まっているといえるでしょう。

取り組むべき課題

 本校も例に漏れず、2020年度より始まる「大学入学共通テスト」への対策が求められています。これに対応できる力を身につけることが、希望する進路の実現には必要不可欠です。「大学入学共通テスト」には、全問マーク式の「センター試験」とは異なり記述式問題が予定されています。
 記述式問題の解答に必要となる文章力は、一朝一夕ではとても身につきません。現在も小論文など文章力を必要とする試験はありますが、「来週試験なので添削をしてください」と試験直前に対策をする生徒が多く、生徒の自主性に任せるだけでは着実に力をつけることが難しいと感じていました。
 また、本校は早稲田大学の系属校で、毎年数十名の卒業生が早稲田大学へ進学します。早稲田大学からは、高等教育の中でレポートや論文などを書けるだけの文章力、ディベートやディスカッションを行えるだけのコミュニケーション力を求められており、その力の育成は本校の目下の課題となっています。
 その他の生徒もほとんどが大学進学をします。当然ではありますが、大学に入学することはゴールではなくスタートで、大学で何を学びどう成長するのかが重要です。しかし生徒の中には、希望する大学に入学するために成績を上げることに精一杯で、その先まで考えられないという生徒もいます。教員には、生徒の希望する進路を叶えることと、その先で必要となる力を身につけさせることの、両方が求められています。

「文章検」を活用する目的

 「大学入学共通テスト」の対策として、まずは記述式問題に対応できるだけの文章力を身につけるために、継続したトレーニングをしたいと考え、文章力を1年間かけて向上させる計画を立てました。
 まず、文章を作成するには、大前提として語彙を理解していなければいけません。当然、漢字の知識や語彙の運用力も必要になります。そこでかねてより校内実施をしていた「漢検」に力を入れることにしました。
 また、文章に親しむため、週に2~3日、15分前後の朝読書を実施しました。この取り組みは担任主導で実施し、読後には読書ノートにタイトルや感想を記入させています。
 そして、文章構成の組み立て方や文章を書くパターンを学ぶことが、記述式問題の解答力に直結すると考え、文章の書き方を学ぶために「文章検」の取り組みを始めました。
 文章力を高めることは、大学入試対策だけでなく、社会で必要な思考力やコミュニケーション力、アウトプット力を育むことにつながります。大学に入るまでに必要な力と、大学入学以降に必要な力の、どちらも育成できるものとして「文章検」を活用することにしました。

「文章検」の学習指導

 本校では、まずは中学1年生で「文章検」の4級、中学2年生で3級を導入しました。本校には週3回、7限講習があり、英語・数学・国語がそれぞれ1回ずつ割り振られています。秋に「漢検」を受検するため、4月から10月は「漢検」を活用した学習指導を行っており、11月以降に「文章検」の学習指導を行っています。
 学習教材は『文章検 過去問題集』を使用しています。まずは1時限目で過去問題1回分の演習をします。2時限目に、生徒同士で答案用紙を交換し、相互採点をしてもらいます。問題集には模範解答だけではなく、解説や採点のチェックポイントも掲載されているので、生徒同士でもある程度の採点ができるようになっています。その後、採点済みの答案用紙を回収し、教員が最終チェックをします。3時限目には、別の過去問題を1回分演習します。そして4時限目には、1時限目に解いた過去問題の解説を行ったあと、3時限目に解いた過去問題の相互採点を行う、という具合に、演習・採点・解説を5回分繰り返していきます。
 また、授業以外に宿題も出しており、学習教材として『文章検 公式テキスト』と『基礎から学べる!文章力ステップ』を採用しています。1週間にそれぞれ1章分ずつ範囲指定をして、6週間で完了する計画としています。

「文章検」の効果

 「文章検」の問題には、どの級でも文章を作成する上での条件があり、そのとおりに書かないと得点できません。この形式に従ってシステマチックに指導することで、生徒は文章の書き方を覚えていきます。これが生徒にとってとてもわかりやすかったようです。
 「文章検」を活用してから、生徒が文章を書く量が格段に増えました。国語の定期テストでも、記述式問題に白紙や意味のわからない文章で解答する生徒はいなくなりました。限られた時間の中で、着実にアウトプットする力が身についています。
 本校の生徒は、物事にしっかりと取り組む真面目で実直な生徒が多いのが特徴です。積極的に前に出ることはあまりなく、自信がないという生徒も比較的多いようです。「文章検」は、文章の書き方をわかりやすく学ぶことができ、トレーニングを重ねることでしっかりと合格できるものです。真面目に学ぶことで能力が身につき、それが点数や合格という成果に表れる「文章検」は、文章力育成のみならず、生徒に成功体験を与えてくれるという副次的な効果もありました。
 こういった効果を実感し、2018年度からは、中学1年生から高校2年生まで「文章検」の活用を広げることにしました。今後は学校全体で、文章力の育成に力を入れていきたいと考えています。

※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。


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